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住まい・インテリア

「平面で生きる芸術性」

Artistry in plan
2008/03/02

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Olympus E-410+ZD 14-42mm/F3.5-5.6

春休みにたまった新聞の切り抜きをしていたら,「地上絵か?匠アート」という記事が目にとまりました。最近のミュージアム建築に凝った平面形のものがあるけれど?ということのようです。どこかで訊かれたような話だな,と思ってよく見ると,そのものじゃないか!

ここのところあまり大学のオフィスにゆっくりいることはないのですが,たまたまとった電話がこれの取材だったのです。ふつうの来訪者の目にも見えないのに,意味はあるのだろうか?というのが記者の素朴な疑問だったようです。

これまで,何度かこういう電話取材はあったのですが,コメントしてもどうせ採用されないことが多いので,すっかり忘れていたのでした。

コメント内容が見たい方は写真を拡大すれば読めるかも。ふつうの来訪者の目に見えないのでは?という問いについては,「日本の建物ならたいてい平面図が案内に使われるから,目に触れると思いますよ」と答えたのですが,あたりまえすぎて採用されなかったようです。で,平面図が案内に使われるのは「地図に慣れているから」という話につながっていたわけなんですが。

最近の香椎浜

Kashii-hama now
2007年2月12日

ネクサスワールドは10年以上が経過しましたが,周辺の香椎浜地区(福岡市東区)はまだまだ完成したわけではありません。ショッピングセンターは,一応落ち着いたようですが,その裏手はまだまだ開発まっさかり。

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GR Digital (ISO100, Daylight, -1/3EV)

イオン香椎浜ショッピングセンターのすぐ裏手には,介護付き有料老人ホーム「ウィルマーク香椎浜」ができています。昔ながらの住宅地でなくてもかまわない,というのであれば便利は便利ですが・・・。事業主体は福岡地所系の会社。

そのさらに海側,というよりもアイランドシティ側は福岡地所とJR九州が組んでディベロップするマンション「香椎浜ガーデンズ」です。

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GR Digital (ISO100, Daylight, -2/3EV)

平成17年11月ころ入居開始だったと記憶していますから,丸一年以上経過していますが,まだ最終販売中のよう。幟も並んでいますが,それが汚れてきているのが逆効果のような。建築・外構デザインはアメリカのジャーディー・パートナーシップ。福岡ではキャナルシティ博多等商業施設のプロデュースでおなじみですが,集合住宅は初か。商業施設では色遣いに特徴が感じられますが,ここでは色はごく控えめ。ヴァンクーヴァーのウォーターフロントの新しいコンドミニアムなんかと似たイメージかな。

南側が道路なので,バルコニーがそちらに面しているのが嫌われたかもしれませんが,道路の反対側は開発が終わっているので,日当たりも眺望も当面悪化する心配なしという立地です。北側は完全に裏,予想通り次のマンションが建ちましたので,視線も気になるかもしれません。それでも,南側から開発されていくというのは良心的というか,福岡ではそのくらいでないと売れないというか,まだ健全な感じがしますね。首都圏の商業地域では北側から順に建設・分譲されて,日照問題でもめているような例もありますから。

で,香椎浜ガーデンズの北側に建ったのが,こちら「ベイパークタワーズ福岡」。

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GR Digital (ISO100, Daylight, +0.3EV)

これは北側から撮った写真です。最初に公開されていた立面ではそれほど感じなかったのですが,立ち上がってみるとプロポーションが良くないですねえ。タワー3棟ならまあよいけど,その間の低層棟?が大きすぎる。これが2~3階だったらと思いますが,そんな余裕ないよ!という風に見えてしまうのがよけい悲しい。それにしても南側には香椎浜ガーデンズがあるから,そちらを正面にできなかったのはわかりますが,それなら隣の敷地も少しはきれいにしておかないと売れないんじゃないかなあ。閉鎖された駐車場なんて,いかにも次はここを工事しますよ,しかもどうなるかはわかりませんよと言っているようなもので。(買ってからしばらくは海が見えます・・・)

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GR Digital (ISO100, Daylight, -1/3EV)

この類のマンションにセンスを求めるのは無理なのかもしれませんが,自分の敷地の入口脇の歩道沿いにこんな風に電柱を並べる神経がわかりませんねえ。このマンションでは電気が使えます,て誰も喜ばないって。ちなみに外壁の色はネクサス香椎セントラルガーデン(ネクサスワールドの裏)で使われているうちの一色によく似た茶色です。

おそらく,この北側にもまたマンションが建つのでしょう。ディベロッパーは建てて,売って赤字にならなければ良いわけだけど,そのあとの街はどうなるのか。ディベロッパーには規制(まちづくりへの責任を持つための教育と資格も),住宅購入者にはまちづくりの主体としての知識が必要です。消費者保護などではなく,所有者になる際の義務として必要ということです。そうでないと,たとえば耐震偽装問題なども根本的な解決にならないでしょう。単なるお客さんでいたい人は,借家に住む方が幸せなはずです。「持ち家政策」などと言われてきましたが,融資提供以外の政策は何もなかったようです。

デザイン基礎演習最終合評会

The final jury for Environmental Design Basic Seminar
2007年2月2日

「環境設計デザイン基礎演習」の最終合評会が行われました。

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Left: FinePix F30(-2/3EV), Right: GR Digital (Wide conversion lens)

この科目は九州大学芸術工学部環境設計学科の1年生を対象とする専門科目です。今年度からは同学科1年生が受講する全学教育科目「空間表現実習」と合同の最終合評会として企画しました。課題内容に興味のある方はこちら。グループで制作した有名住宅の1/20模型と資料を基に空間分析を行い,模型をビデオカメラで撮影しながら,CGパースまたは模型写真,図面なども加えてプレゼンテーションし,講評を受けるというものです。

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FinePix F30(-2/3EV)

まずは合評会直前の風景。左は合評会のために来ていただいている非常勤講師の花田先生(神戸芸術工科大学)に説明しながら,プールにジェルを流し込んでいるところ。右は合評会用に模型の位置を移動しているところです。これはトゥーゲントハット邸ですが,かなり大きな模型であることがわかるでしょう。

最初のプレゼンテーションは,岡山の家(山本理顕設計)。このエントリー冒頭のものもこれです。

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GR Digital (Wide conversion lens)

1/20ともなると,かなりディテールを作り込むことができます。ディテールを作りつつ,全体の雰囲気もしっかり把握しなくてはなりませんが,いいバランスでできています。これは文句のないでき。プレゼンテーションも模型をつくりながら自分たちの感じたことがよく表現できていました。もちろん,もっと生活感が出れば,などという高度な講評もありましたが,それは今後に期待。彼らが素朴に不思議だと感じてくれたところが,なぜこの形で実現したのかを考える上でヒントになるようなことを伝えられていれば良いのですが。

おなじみ落水荘(フランク・ロイド・ライト設計)。

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Left: GR Digital (Wide conversion lens), Right: FinePix F30(-2/3EV)

まずは有名な角度から。水をどう表現するかもポイントです。映像を使ったプレゼンテーションはスクリーン2面を使います。左のスクリーンが小型CCDカメラで模型をリアルタイムに映している映像,右があらかじめ撮影した模型写真というように工夫してくれました。

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Left: FinePix F30(-2/3EV), Right: GR Digital (Wide conversion lens)

ライティングの基本はビデオライト1灯,太陽ですね。プレゼンの必要に応じて天井や壁は取り外せるように工夫されています。着色したスタイロフォームを積んだ壁や家具にもご注目。

フィンランドのマイレア邸(アルヴァ・アアルト設計)。

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Both: GR Digital (Wide conversion lens) (Right +2/3EV)

離れであるサウナ,プールを含む全体を1/20で表現してくれたので,これは一番大きな模型になりました。グループの人数は同じなので,ここまで大きくなると,細部を作り込む時間が足りなくなります。そこは,うまく全体の構成と迫力で見せる模型になっていました。壁と屋根の関係だけは表現したかったですね。

トゥーゲンハット邸(ミース・ファン・デル・ローエ設計)。

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Both: GR Digital (Wide conversion lens)

これも大きな模型になりました。それでもミースらしさがよく出ていたのは,壁面や柱の精度が高いからでしょう。インテリアもよく作り込まれていましたし,分析もなかなかのもの。

幻庵(石山修武設計)。図面だけ見ると,なんだこれは?という感じの住宅ですから,みな模型に興味津々。

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Both: GR Digital (Wide conversion lens)

これは今回一番小さい模型になりましたが,その分材質から細かな家具まで神経が行き届いていました。ちゃんと暖炉や照明器具にも火が入って,ステンドグラスを通して入る光と合わせて,見せるプレゼンテーションになっています。

最後がZIG HOUSE/ZAG HOUSE(古屋誠章設計)。

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Both: GR Digital (Wide conversion lens) Manual White Balance

これもすばらしい模型。シンプルな梁型が並ぶ空間を,精度良くバルサでつくり,仕上げをしています。さらに夜景をイメージして,各柱付近に豆電球が仕込まれて空間の美しさをじゅうぶんにプレゼンテーションしてくれました。

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GR Digital (Wide conversion lens) White Balance FL3

最後に花田先生を初めとして,担当した教員(田上先生,井上先生,大井)が総評をして締めくくり。今年は合評会の最後まで熱心に聞き入ってくれたのが印象的でした。このあとすぐに片付け・清掃が行われ,その間にも個別に花田先生をつかまえて,いろいろ質問する姿も見られました。

そうそう忘れてはいけないのはTA諸君の働きです。模型,プレゼンテーションの制作へのアドバイスから合評会の準備まで,本当にご苦労さまでした。

※制作者氏名をブログに公開してほしいグループがあれば連絡ください。(グループ全員の合意によること)

デザイン基礎演習前半合評会

The jury for Environmental Design Basic Seminar (1st half)
2006年12月23日

昨年末に行われた合評会の模様をお届けしましょう。

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FinePix F30 (-2/3EV) 以下同様

グリーンボックス・ハウス(宮脇檀)の発表風景。合評会までの課題は,AutoCADによる平面図,立面図,断面図と,そこからShadeでモデリング,レンダリングしたインテリアのCGパース,そして1/50のスタディ模型です。図面,パースおよび対象住宅の紹介に必要な画像などはデータとしてされたものを,模型は小型のCCDカメラを通したものを,2台のプロジェクターで壁面に投影し,まずは担当学生グループによる発表,その後教員との質疑応答やコメントとなります。

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白の家(篠原一男)。ポイントとなる柱が曲がっているのと,居間空間の天井を誰も作らなかったのが残念。

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山川山荘(山本理顕)。周囲の木々をつくっているのがいいですね。非常にシンプルな建物ですが,屋根をつけてCCDカメラでのぞくと雰囲気はばっちり。

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梅林の家(妹島和代)。薄い壁でつくられたこの家にはスチレンボードの模型がぴったり。今年は周囲の電柱が作られていて,妙にリアルでした。1/50だと内部空間を模型で味わうにはちょっと小さい。

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立川のハウス。このグループは,けっこう気合いが入ってました。CGパースがツボを押さえていて,プレゼンも好評。中庭の「つっかえ棒」の取り付け位置が,それぞれ違っていて,さてどれが正解?と思わぬ教材も提供してくれました。

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黒の家(千葉学)。スタディ模型ですが,黒の家だからさりげなく黒も使っているのが好感が持てます。CGパースの組み合わせもなかなか。

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ミニハウス(アトリエ・ワン)。周辺条件にも注目してくれたのはなかなか良かったのですが,ちょっと全体を把握しきれていない感じでした。まあ,知らない土地の将来の道路予定地云々を想像するのは難しいかもしれませんが・・・身近なところにもあるものだから,これから慣れてほしいと思います。

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日本橋の家(岸和郎)。

あと立体最小限住宅と塔の家(東孝光)があったはずだが・・・模型の写真を撮り忘れたようです。講評しながら,撮影もするのはちょっと難しい。

九州大学芸術工学部環境設計学科では,今年の1年生からカリキュラムが変わり,私が後期に担当していた「デザイン基礎II」は,「環境設計デザイン基礎演習」として内容も変わりました。新たに全学教育科目として「空間表現実習」が田上先生の担当で始まり,模型制作とスケッチなどはこちらに移行したのです。演習系科目全体の意図は変わりませんので,スケッチ,模型,CAD/CGとも同じ対象を扱うこととし,田上先生と相談して,合同の合評会を企画したのが今回の合評会。非常勤講師としてこれまで同様神戸芸工大の花田先生もお招きしています。

公開講座「模型で考えるあなたの住まい」

2006年10月18日~11月29日 隔週水曜日19:00~21:00 全4回
九州大学 大橋キャンパス2号館 環境設計学科プレゼンテーション室

昨秋開催された,九州大学芸術工学部公開講座「模型で考えるあなたの住まい」の概要をお伝えします。2005年秋に開講した「住まいの常識を問う」に続く住宅シリーズで,今回も田上先生が企画してくださり,大井もお手伝いしました。

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田上先生によるオープニングです。

■対 象:一般
■受講料:6,200円
■講 師:土居義岳,石田壽一,大井尚行,田上健一,井上朝雄(九州大学 大学院芸術工学研究院・環境計画部門)
■内容:今の住宅ブームやリフォームブームは,住宅をつくろうとする人々にとって,一見,選択肢が増えているように見えます。しかしながら,実際にはnLDKと呼ばれる「型」を焼き直し続けているに過ぎません。これからは,住み手がもっと主体的にデザインプロセスに参加していく「要求型」の住まいづくりに転換していく必要があります。本講座では,自らの空間の獲得・実現方法について,1/50程度のスケールの住宅模型をつくるという簡単なデザインワークをワークショップ形式にて行います。各回ともスタッフによる基礎的・専門的な講評・批評を受けることになります。受講者は,住宅のデザインプロセス,模型作成のプロセス,表現方法,空間のスケール感などを学ぶことができます。
■スケジュール
第1回 10月18日 「住宅に求めるコト」(田上健一・建築計画)+ワークショップ
第2回 11月01日 「空間の心理学」(大井尚行・建築環境心理)+ワークショップ
第3回 11月15日 「空間の構築方法」(井上朝雄・建築構法)+ワークショップ
第4回 11月29日 「空間を批評する」(土居義武・建築史,石田壽一・建築意匠)+ワークショップ
■ご持参品:第一回目に可能であれば現在のお住まいのプランをお持ち下さい。

第1回は,まず田上先生のお話。住宅問題解題,シロウト建築のすすめ,模型で考える,模型のつくり方,模型をつくってみる,といった話を聞いたあと,いよいよ模型をつくってみます。

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スチレンボードに平面図,立面図が貼られたものが用意されていました。これを切って,接着剤で貼り合わせれば,だいたい形ができあがります。細かいところはティーチング・アシスタントの学生が教えてくれます。


第2回は私の担当で,空間の立体的な構成や開口部から感じられる開放感などについて話しました。いよいよ自分で考えて模型をつくる前に,機能だけでない「空間」を考えてもらえるように,と意図したものです。
・窓の外に他人にじゃまされない空間を確保するには?
 内部と外部の配置
 視線はどうなる?
 見えてもかまわないものは?
・天井に変化をつけると?
 高さを変えてみる 全体・一部
 傾斜をつける,カーブをつける
・空間の大きさをつかむためには家具や人を配置してみる

話だけでは,なかなかわからないこともありますから,天井まで開いたスリット上の開口部や,ハイサイド・ライトなどを,その場で模型につくって,見せて回りました。

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これが見せて回った模型の内観 写真。

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みなさん思い思いに楽しんでいます。

途中で,良さそうなアイディアやおもしろそうなものがあると,田上先生が講評を加えてくれます。

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吹き抜けと階段,開口部を組み合わせたこんな作品も。

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第3回は,井上先生による空間の構築方法。簡単な木造住宅の耐震診断をやってみよう,ということ。みなさん自宅や自分で考えたプランの壁量などをチェック。

第4回は,土居先生と石田先生のお話。土居先生はミース・ファン・デル・ローエとコルビュジェの代表作を取り上げて,空間の構成と描かれた生活スタイルなどについて。石田先生は研究室で展開されているオランダの水上住宅や,単純な基本形の組み合わせで空間をつくっていくFLOPの紹介。具体的なプロジェクトの紹介にはみなさん興味津々だった様子。

最後に受講生が制作してきた模型について,講師全員が講評する形で終了。時間の関係で全員分について講評できなかったのは申し訳ないことでした。話を聞くだけでなく,受講生が手を動かして,参加する形は講師側にも刺激があってよいものです。機会があればまた企画したいと思います。

建築雑誌2007年1月号

Journal of Architecture and Building Science 2007-01
2006年12月25日

Jabs0701cover12063さて,ブログを2ヶ月も更新しなかった間,どうしていたのか。そのわけを報告しましょう。

その名も「建築雑誌」という建築系の雑誌があります。一般に販売されているものではなく,日本建築学会の会誌です。この雑誌の編集は,まず編集委員長が決まり,そのあと委員長に指名された編集委員会によって行われています。編集委員の交代は2年に一度。

大井は,2006年1月号~2007年12月号までを担当する委員を務めています。委員長は東京大学の松村先生です。各号の特集は編集委員によって企画が出され,企画が採用されると担当委員となるのですが,なんと来年1月に会員の手元に届く2007年1月号の特集を担当したのです。夏頃に,委員長から来年の企画案を必ず提案するようにと言われ,何の気無しにふだんから興味を持っていた,建築と社会の関係についていろんな人に語ってもらうような企画を出したら採用されてしまい,さあ大変。もちろん雑誌の特集の担当責任者なんて初めてです。

あらためてパソコンのファイルをチェックしてみると,担当が決まって具体案のversion 1が9月5日。編集委員会のチェックを経て,インタビューや執筆の依頼先をほぼ固めたのが10月上旬です。巻頭に建築研究の大先生へのインタビューを4本並べ,そのあとに関係各界の著名な方からの論考が続くというスタイルを考えました。

ちょっと目次を見てみましょう。

初夢--建築への期待

巻頭インタビュー
 大谷幸夫,多田英之,鈴木成文,中村泰人
論文
 宮脇昭(植物生態学),坂村健(情報学),御厨貴(政治学),長谷川徳之輔(不動産学),細野透(編集学)

私からすれば,すごい方々ばかり。よく引き受けていただけたものだと感謝するしかありません。

とくに時間をかけたのは,インタビューとそのとりまとめです。建築と社会なんて,なんでもありですから,特集の主旨を1ページ書いただけでは,意図を伝えることは難しい。でもインタビューなら,いろいろ質問しながら語っていただくことができます。さて,非常に熱心に語っていただいたのはよいのですが,1時間半から,長い方は4時間近くも話をうかがってしまったため,これを大幅に編集して所定のページにおさめなくてはなりません。これは非常に楽しいけれども,つらい作業でもありました。

それでも知識を総動員して,多くの方に先生方のお話のニュアンスを伝えられればと1ヶ月以上にわたり,がんばってみました。

建築雑誌を手にする機会のある方は,ぜひお読みください。ふだんは読まないで捨てるという方も,今回は是非。

インテリア撮影にお勧めのコンパクト・デジタルカメラは?

My recommendation on compact digital cameras for interior photography
2006年10月16日

エジプトから帰ってしばらくして,現地でもご一緒したM先生から,「お勧めのデジカメはありませんか?」と問い合わせがありました。「用途としては、学生にインテリアの写真を撮らせるのに、簡単にきれいな写真が撮れるとよいというのが、当座のニーズ」で「価格は5万円程度まで」とのことでした。メールで私の考えをお答えしたのですが,考えてみれば,いろいろな人の参考になるかもしれないので,一部修正して,ここに再録したいと思います。

インテリア撮影の場合には,広角レンズが使えて,かつ高感度でも画質が良いことが求められるだろうというのは一般的で,私も異存はありません。もちろんどんな写真を撮るかによりますが,一応,全体を入れた写真も撮っておきたいということが多いから広角という話になるのでしょう。どのくらいの広角レンズが必要かは,空間の広さによっても変わってきます。人間の感覚としては狭い空間ほど広角で撮らないと体感と違って感じるように思います。つまり,私の感覚としては,広めのリビングだったら35mm相当ぐらいでもそこそこ広角に感じますが,6畳以下の空間だと28mmクラスが欲しくなり,トイレやお風呂のような小さな空間では21mmクラスでないと壁しか写らない?というように感じます。

感度は一般住宅を対象にするなら,高い(高くしてもノイズが気にならない)方が無難でしょう。狭いところだと三脚は使いにくいし,手ぶれの危険も減らしたいですし。エジプト紀行で多用しているフジフイルムFinepix F30は,コンパクト・デジタルカメラとしては高感度での画質は抜群ですが,広角側は36mm相当とあまり広角ではありません。室内空間全体の撮影を考えなければ,とてもいいカメラなのですが。

さて,広角のデジカメを探すのには,ヨドバシカメラのサイトが便利です。

デジカメ>機能で選ぶ>広角撮影ができる
http://www.yodobashi.com/enjoy/more/productslist/cat_89_173/53993415.html

28mm相当の広角を売り物にしているイメージが強いのはリコーとパナソニックですが,オリンパスからもFE-200というのが出たようですね。しかも安い。まだ新しいカメラなのであまり情報がないですが,こんなページを発見しました。
http://takebeat.sytes.net/index.htm

ちなみにフジとオリンパスはメモリーカードがxDピクチャーカードです。これを気にする人もいるようなのですが,大容量のSDカードが何枚も余っているというのでなければ,メモリーカードはカメラと一緒に1~2枚ずつ買うものだと考えた方がいいように思います。

さて,リコーの場合はCaplio R4が600万画素でR5が700万画素。ほとんど違いはないように見えるけれど,R5の方は新しいだけにISO感度が1600までになってますね。R4は800まで。もうひとつ,リコーにはGX8という機種があります。発売からまる一年以上経っていて若干無骨ですが,これの特徴はワイドアダプターが付けられるところにあります。本体価格にあと1万円ほど出せば22mm広角相当の撮影もできるところが他にない特徴。最近ほとんど出番がありませんが,私のところにはGX8の前機種のGXがあります。たとえば,このブログのLuxPacificaの時の写真は全部これで撮影。ただし夜景は低感度で三脚を使っています。
http://naoyukioi.cocolog-nifty.com/newsletter_from_naoyuki_o/2005/07/index.html

同じころの金沢21世紀美術館の夜景とタレルの部屋はISO400でその辺の適当な台に乗せて固定したもの。

パナソニックは小型でおしゃれな感じですが,私の近くで使っている人の感想では,暗い条件にはあまり強くないようです。

デジカメといえば,キヤノンも有名ですが,そのキヤノンからはIS900というのが発売されたところのようです。
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0609/29/news042.html

Webの情報も信じるとして,私が個人的に考えるお勧めの順番は

1)狭い空間にも対応できて,一番応用範囲が広い
 リコーCaplio GX8+ワイドコンバージョンレンズDW-4+フード&アダプターHA-1
2)28mm広角がフルオートで使えればじゅうぶんという場合は安価な
 オリンパスFE-200
3)28mm広角が使えて,多機能な最新機種で欠点の少なそうな
 キヤノンIXY DIGITAL IS900

エジプト紀行で使ったもうひとつのリコーGR Digitalは今回の条件からするとやや予算オーバーですが,広角しか使えなくてもよければインテリア撮影にはお勧めはできます。一番の特徴はレンズの歪曲が少ないことで,直線がほぼまっすぐ写ること。他の機種では広角側では多少は樽型に曲がって写るのは仕方がありません。これが重要かどうかは用途と好みの問題でしょう。

網戸

New screen door for my office
23 June 2006

大学の部屋に網戸をつけた。

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GR DIGITAL GR LENS 5.9mm(28mm equiv.)
ISO 200 WB Auto ProgramAE

教員室の外(北側)には一般の住宅と同じようにバルコニーがあり,出入りできるのだが,網戸はついていなかった。キャンパス内はそれなりに樹木も植えられていて,都市の中としては少しだけ自然であり,結果として虫は多めである。特に夕方になると,蚊が気になるし,時にはカメムシも。

しばらく前までは,建物そのものが大改修の対象になるのではないかという期待もあったので手を着けずに来たのだが,国立大学に対する国からの運営交付金が確実に減らされていくことと,九州大学の伊都キャンパス移転,東京との対抗のための出費(昨今の競争奨励政策のため)などを考えると,しばらく大改修はなさそうだ。

窓周りを見てみると,単純なアルミサッシで,外側に邪魔者もなさそうなので,レールを追加することができそうだ。自宅ではないから日曜大工もなんなので,ブラインド等で比較的丁寧な作業をしてくれる出入りの業者に頼むことにした。もちろん何カ所か集まれば単価は下がるのだが,いきなり他の人を巻き込むのも責任重大なので,とりあえず自分のところだけで試す。

仕上がりは,写真のようなもので,予想通りであった。今日は気温もそう高くないので,窓を全開にして,まあまあ快適。同じタイプの部屋の人には勧めてみようか。もっとも,こういうことをやり出すと建物が改修対象になったりするのかもしれない。それはそれで良いのだけれど。

ネクサスワールドの取材

An interview on Nexus World housing complex
2006年6月20日

たまには日記風に書いてみます。

今日は建築系ライターのTM氏がネクサスワールドの取材に来られました。バブル期に建設されたデザインを売り物にした集合住宅の特集企画だそうです。九州では,熊本アートポリスの保田窪団地やネクサスワールドが対象のようでした。なぜ私が取材を受けたかというと,ホームページに掲載している「ネクサスワールド・オープンハウス情報」を見ていただいたようなんですね。

連絡をいただいたあとで,思い立って「ネクサスワールド」でインターネットを検索してみると,なんと私のページが2番目に出てきました。ネクサスワールドも10年以上たっているので,最近更新されるページというのは少ないということなのでしょう。でも,10数年というのは建築の寿命からすればまだまだこれからというところですね。真価が問われるのはこれからとも言えましょう。

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マークマック棟の角で待ち合わせをして,ウエストサイドの敷地からレム棟とスティーブンホール棟の裏を眺めながら,まずは雑談。マークマック棟が大規模修繕で色が変わってしまったことなど。そこで写真を撮らせてください,と言ってバッグから取り出されたカメラはなんとオリンパスのOM1(Zuiko 21mm付き)でした。ううむ,なかなかよい趣味をされています(と勝手に判断してすみません)。

最後に建ったMJRのマンションも眺めた後,ショッピングセンターのスターバックスでお話しました。私の方からは,建築のデザインが持続してよい状態を保つために必要だと思う,管理面,居住者意識の重要性や修繕に必要な態勢,データなどについての考えを提供しました。ついでにオープンハウス時などに撮りためた写真のカタログ・プリントと今年の折り込みチラシなどもお見せしましたので,なんらかの形で使われるかな?

それはともかく,追跡記事というのは大好きですから,実際に記事になることを祈りましょう。ほかとの比較も含めてぜひ読んでみたいですもの。

ミース・ファン・デル・ローエ展

Mies van der Rohe 120th Anniversary Exhibition
2006年3月25日~4月7日 日本建築学会・建築会館ギャラリー

ミース・ファン・デル・ローエの生誕120年として企画された展覧会。4月3日に建築学会で建築雑誌の編集委員会のついでに立ち寄りました。

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GR DIGITAL GR LENS 5.9mm(28mm equiv.)
ISO 400 WB Auto ProgramAE

もちろんミースの代表的な建築作品はいろいろなところで見たり,参考にしたりしているわけですが,なかなか全体像をあらためて眺めるという機会はありませんから,こういう展覧会は大歓迎です。展示内容については,展覧会のWebサイトがすばらしい。アーカイブとしてずっと公開し続けてくれるとよいのですが。

建築会館ギャラリーは建築会館入り口の中庭から見えるところにありますので,展覧会がかいま見えると,建物全体が良く見えます。大学の建物も考えなくてはいけませんね。

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GR DIGITAL GR LENS 5.9mm(28mm equiv.)
ISO 400 WB Auto ProgramAE

実は,日本建築学会も今年120周年なのです。ミースの生誕と日本で建築学(とはまだ言っていなかったけれど)が芽生えたのが同時期というのが不思議な感じですね。

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