松下美紀「アースコンシャスな照明デザイン」
Miki Matsushita: Earth conscious lighting design
2010年5月20日
照明学会九州支部の総会に合わせた特別講演会で,松下美紀さんに「アースコンシャスな照明デザイン」と題してお話いただきました。作品は多数ありますが,やはりよく知られているのは福岡タワーの照明でしょうか。
講演ではいつも光に関係するいろいろな写真を紹介してくださいますが,今回はAstroSoichiさんの月の写真に触れられました。今は光がどういうものかについての底上げの時期,照明によっておいしさが変わる,価値が変わるといったことを多くの人に実際に見ていただくことが大切,ということで新しい事務所には「照明シミュレーションルーム」があります。
LEDの普及,デジタル化によってさまざまな人がデザインをするようになりましたが,照明デザイナーが美しさを伝える必要があるようです。また夜間の景観について地域の人と共に考えるワークショップなども普及活動として展開されています。LEDが新しいといっても魔法の明かりではないのです。
多数の事例が示されましたが,アースコンシャスという意味では,たとえば「百道浜 山王病院周辺の公開空地」の照明。公開ですからもちろん誰でも入れるのですが,きちんとした照明デザインを施すことで自然に利用者の協力を引き出して環境を維持していこうという狙い。それも暗がりはなくしつつ最小限の光で。全体でも消費電力は3kWほどにすぎないとのこと。
もうひとつの事例として紹介されたのが「ひびきのサトヤマビレッジ」。44戸の住宅地開発ですがコモンスペースを大切にした計画。共用部分の照明は全体で1.6kWしかないそうです。もちろん全体の計画・運営が必要なわけで,各戸のエントランスの常夜灯についてのルールを決めています。これを常時点灯すること,そして「別のものをつけないこと」。これは非常に重要なことです。
照明器具や光源の技術開発では「省エネルギー」はできますが,それだけではふじゅうぶんであることがよくわかります。照明デザインという人間の営みに少し予算と時間を振り向けることで,より楽しく,アースコンシャスな照明ができる,という非常にわかりやすいお話でした。
Panasonic GF1, Lumix G 14-45mm/F3.5-5.6
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