twitter

無料ブログはココログ

« 携帯電話で地震速報 | トップページ | 空間デザイン論 石田壽一先生講義(2) »

大分省エネ照明フォーラム

The energy conservation lighting forum at Oita
2009年6月27日

S090627131513_pt [1]

大分県庁で省エネ照明フォーラムが開催され,講演者のひとりとして参加してきました。前半は研究分野からの話題提供という形で,まず古賀先生(九州大学大学院人間環境学研究院)からもりだくさんすぎるほどの総論が講演されました。

S090627131232_pt [2]

省エネは最優先事項ではない
光環境の理 強,用,美+資(削減,再利用,再生利用)
器具の間引き≠省エネ・省コスト 建設時だけでなく運用時が大事
適光・適所・適時 照度基準はあくまで目安
 照明設計基準の紹介 JIS Z9110照度基準,JIS Z9125 屋内作業場の基準,CIE S015 屋外作業場の基準,ISO 8995-3 屋外作業場の照明基準案
光環境の量と質
光の効果
・光のアフォーダンス サインとしての働き
  アフォーダンス J.J. Gibson,D.A. Normanによる定義
・光の心理的効果 誘導,視覚的効果,方向性・境界,光のゾーニング
昼と夜の表情 自然光の入る空間で昼夜同じ照明器具ではうまくいかないが,昼光だけでもうまくいかない。昼間でも補助照明が重要
「明るい」と「眩しい」は違う 過ぎたるは及ばざるがごとし
 アイキャッチャーになるはずが目の感度に合わないと単なるまぶしさに
景観照明の例
 ブダペスト・ライオン橋 むしろコストをかけていない昔の方が暗いけれど良かった
 現代建築のライトショー 照明される建築自体がよくないと・・・
光の制御 初期光束補正制御でほどよい光 不要な光を制御し省エネルギーに
効率のよい照明
1) 昼光利用
2) 目的にかなう高効率光源の使用
3) 目的にかなう配光特性をもつ高効率な照明器具の使用
4) 適切な照明制御
5) 照明と室の適切な保守

最後に9月15日開催予定のJCIEセミナー(JIS Z9125の解説)の予告がありました。

引き続いて私からの話題提供。古賀先生が最初に基本を解説されるのがわかっていましたし,後半に中村享一さんのデザイン事例紹介も控えていますので,私は心理評価アプローチの事例を紹介することにしました。メインは照度と色温度の組み合わせが,行為によって好ましさが異なるというものです。LEDは小型で複数配灯が必須であり,制御も標準に近いので,設計と使い方次第で省エネも含む照明の質の向上を目指すべきという方向性を示したつもりです。基本的には沖縄で話した内容と重なるものです。

休憩をはさんで,参加照明メーカー各社からの話題提供。それぞれに力のいれどころが異なりますが,これは各社のWebサイトを見れば公開されている内容の概要といって良いでしょう。会場後方には各社の展示ブースがありました。(あいかわらず眩しいんですけど)

S090627125321_pt [3]

最後は環境省省エネ照明モデル事業からの事例紹介です。私にとって,今回のフォーラムでのお目当ては当然,中村享一さん自身による稲佐山観光ホテル(長崎)のリニューアル事例の紹介です。照明デザインにはイルミデザインも加わってのトータルな空間設計となっています。特殊なことをやっているというよりも,基本に忠実に緻密なデザインを行うとこうなる(もちろん経験と想像力からくる創造力がすごいわけですが)というお手本でしょう。その基本の部分が実例とともに語られるだけに説得力があります。

S090627151648_pt [4]

省エネ照明の5段活用
1) 光源高さを下げる
2) 重点照度を確保する(明るさにメリハリをつける)
3) 効率のよいランプ,器具を使う
4) 輝度のバランスをとる グレアをなくす,広い面で照らす
5) 高演色で低色温度のランプを使う

具体的には,光源は色温度2400~3050Kの中から選択,自動販売機を新たにデザインしたショーケースで隠してまとめてあります。平均照度が下がることにはホテル側としては抵抗があるわけですが,明るさ感の説明やシミュレーションの提示を繰り返して納得してもらったと言います。

レストランでは,テーブルの配置変更への対応を均一な照明で行うのではなく,LEDのアジャスタブルダウンライトで光の方向を可変とすることで対応する一方,固定テーブルの上はローボルト・ハロゲンのペンダントで雰囲気を重視しています。よく聞くと,ランプにはオスラムのものを用い,トキのトランスを組み合わせ,セードはフロアスタンド用のものを流用など,ものすごいノウハウの固まりであることがわかります。

照明シミュレーションもフリーで使えるDIALuxの事例ですから,誰にでも参考になるはず。ちなみにモデリングはArchiCADとのこと。DIALuxは配光データとしてIESデータが読み込めます。ヨーロッパなどでは標準ですが,日本では遠藤照明しかデータを提供していない(他社は独自形式)なのが難点です。ちなみにShadeもPro版ならIESデータを読み込めると思います。

省エネ照明プロジェクト事例としては,もうひとつ住友林業の大分ショールームの紹介がありました。ショールームなのでそうとう極端なものもありますが,場面設定とマッチすればこんなものも可能という意味ではおもしろい。リビングの室内照明をすべて廃し,そこから見える庭のみを照明する(手元の照明が必要ならスタンドを使う)例などは,日本では現実的なものとは受け取られないかもしれませんが,パリなどに行けば照明はスタンドのみという住宅の部屋は珍しくもないでしょう。

最後に環境省地球温暖化対策課の染野室長からのまとめとごあいさつ。人間のため,を基本に後世につけを残さないという基本方針の確認と,すべて取り替えるのではなく残せるものは残して古いものから新しい技術までを連続させていくという方向性が示されました。(わが環境・遺産デザインコースの概要みたい)

まだ仮ではありますが,本年の省エネ照明プロジェクト・シンポジウムは10月20日の予定だそうです(あかりの日,ですね)。

------------おまけ----------------

建築で大分と言えば磯崎新氏ですが,会場の大分県庁舎は建設省九州地方建設局営繕部の設計。1962年竣工とありますが,当時の有名建築のスタイルを踏襲しているだけでなくて,なかなかよいプロポーションです。建設省がやったんなら,歩道橋も・・・

S090627112040_pt [5]

ちなみに福岡からのアクセスは,西鉄高速バスで2時間弱。トキハ前のバス停で降りてから5番街を抜けて徒歩10分程度でした。むしろ帰りの方が天神郵便局のあたりからバスセンターまで20分以上かかったかな。渡辺通の交通規制はまだでしょうか・・・

撮影データ
(共通)FinePix F100fd PTLens, Program AE, WB Auto
[1][2] 6.4mm, ISO800 [3] 6.4mm, ISO400 [4] 13mm, ISO400 [5] 6.4mm, ISO400

« 携帯電話で地震速報 | トップページ | 空間デザイン論 石田壽一先生講義(2) »

照明・視環境」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 大分省エネ照明フォーラム:

« 携帯電話で地震速報 | トップページ | 空間デザイン論 石田壽一先生講義(2) »

最近のトラックバック

2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30