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新聞記事「細る資金あえぐ国立大」

From Newspaper: Reduced budget makes National Universities gasped
2009年6月8日

続いて新聞記事から。

 細る資金 あえぐ国立大
 法人化で毎年減「もう限界」
 カーペットでマウスパッド 電子顕微鏡を40年以上使用
 退職教員出ても補充できず

 大学は窮状主張し,提言を

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at 九州大学大橋キャンパス

やっと?国立大学の現状に関する記事を見かけました。昨日書いた「埋蔵金」の記事は政策面の記事,こちらは教育面。同じ新聞であるところが,理解に苦しむところです。編集者は大変でしょうが,もう少しなんとかならないのでしょうか。

さて,窮状の例の選び方はともかく,予算減で何が変わったかは多少は記事から読みとれるのでよいと思いました。ただ,研究予算の全体像を知らないとなかなかわかりにくいでしょうね。また一般の企業に勤めている方にはイメージしにくい部分もありそうです。

記事は「大学側からの提言や自己主張は乏しく,社会に窮状が伝わりにくい」としています。うーん,そうなんだ,国立大学協会があんなにいろいろ言っても,新聞もテレビもあまりとりあげてくれないように見えるんだがなあ。新聞に投書して,ということかもしれませんが,採用されるかどうかわからないものに時間を割くのもなんなので,とりあえずブログに書きましょう。

たとえば教育研究費に関する記述では「(プロジェクトに)採択されないと,年予算が50万円以下という教員も少なくない。」とあります。これが多いか少ないかは読み手によってずいぶんイメージが変わるでしょう。大学によってやり方が違うかもしれませんが,私の所属する部局のやり方だと,大きいものは次のような感じでしょうか。ちなみに私は応募したプロジェクトものは連戦連敗。研究を分担させてもらった予算で食いつないできた?感じです。

学会や研究会に参加するための旅費
 国内だと東京が中心のため遠方の大学ほど必要。国際学会も悩ましく,自費出張も。大学院生はもちろん自費。
備品やソフトウエアの更新や修理
 ソフトウエアは共同購入で多少救われているが,常に教育・研究の足かせに。
文献の購入費(学術雑誌の定期購読)
 ふつうの書籍はすべて自費購入。
論文の投稿費
印刷・コピー・ネットワーク経費など
 授業配布用も含む。研究室所属学生が増えるほど苦しくなるのが本末転倒?

予算があったら頼みたいけれど自分でやるもの
 すべての事務手続き,書類作成
 部屋の掃除
やるのはかまわないのですが,これがなければもっと学生の指導や研究ができるのに,と思います。法人化にいたる前から事務職員自体かなり減りましたし,教員側の事務分担割合はずいぶん増えました。

提言?
・競争相手と位置づけている国と同じくらいの公的予算を!(ずっと言われ続けていることです。主張に乏しいと言われてもねえ)
・予算配分に,人的資源の有効活用という観点を!
 たとえば文部科学省の科学研究費の採択率は1/5くらいでしょうか。応募時点で,誰が研究に参加するかを決めなくてはいけませんし,複数のプロジェクトに関わることには制限がありますから,極端に言えば予算の不採択=プロジェクトに不参加ということになります。仮に他のプロジェクトに分担者として入っていて確率2倍としても3/5が不参加となります。またその研究室にいる大学院生の力も活用されないことになります。他の分野のことはわかりませんが,私が予算を配分する立場だったら,応募時点ではプロジェクト・リーダーとテーマおよび研究計画だけで選定し,そのあと参加する研究者を選定したいと考えます。できるだけ多くの研究者がプロジェクトに参加した方が成果は大きくなるはず?
・大学院生にもっと予算を!
 修士課程の大学院生が年に1回学会発表するための旅費と発表登録費くらいは出ないものでしょうか。また博士課程の大学院生ならそれに加えて国際学会参加の旅費と参加費くらいは出ないものでしょうかね。多数の研究者と直接議論することは特に大学院生への教育効果としてはものすごく価値があると思うのですが。

撮影データ
[1] FinePix F100fd (6.4mm) PTLens, Program AE, ISO100, WB Auto

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