重松敏則先生最終講義「里山の保全と復元をめざして」
The last lecture of Prof. Toshinori Shigematsu
2009年2月21日
FinePix F100fd 32mm(PTLens)
Program Auto, ISO400, WB: Auto
2009年3月に九州大学を退官される,大学院芸術工学研究院の重松敏則教授の最終講義が開催されました。
まずは生い立ちから。生まれ育った場所のスケッチが提示され,運送業の人の木炭車で白砂青松の浜へ海水浴に行ったこと,砂浜には小屋や洞窟があったことなど里山,小川,砂浜といった原体験が語られました。
小学校からは大阪(田園地帯のRC造団地)へ。堺あたりがまだ白砂青松のころでしたが,その後高度成長による激変が起きます。最初は美術を志したそうですが,それでは食えないということで緑地公園の設計ができる造園学科へ。
大学では西表島のパイナップル農園にはまったそう。那覇まで2泊3日,西表までさらに1日かかるころです。卒論・修論は西表の自然保護について。院生のときの写真も登場。西表では横断道路のずさんな建設が進んでおり,土砂が流出,珊瑚の被害も。1回あたり40~50日かけて植生図をつくり,自然保護区分図を作成。沖縄の本土復帰後,国立公園化に向けて調査が行われるということで,プレック研究所へ。西表では地面に丸太を突き刺しておくと生け垣になるというのを目撃,これが後の幹刺しのヒントになりました。
その後大阪府立大に呼ばれて戻られます。西表は琉球大にまかせて里山をやりなさい,といわれたそうです。里山は10~15年周期のサイクルで伐採更新され,太陽の日が入ります。人手が入ることでより多様になっているというわけ。手入れされないと常緑広葉樹が戻って暗くなり,草花は消え見通しも悪くなります。
どのような管理をすれば適度な植生になるか?5m角の区画で実験。結果が出るまで10~15年かかるので今ではとても無理かもしれない研究です。その間航空写真の分析を用いて都市化についても研究。利便性(交通)と都市化の進行の関連,新旧住民へのアンケートも。土地利用秩序形成のための計画モデルをつくられました。
近郊農村のコミュニティ崩壊過程では住民は4種類に分類されます。
・土地成金 都市化の過程で土地を売って裕福
・土地不成金 都市化初期に安く土地を売ってしまい失敗
・営農者
・新住民
この4者がすべて反目しあうことによりコミュニティは崩壊します。切り花で現金収入が多い地域のみ,うまく残っているようです。こういうところを残せるか?が課題とのこと。
高速道路などの長大法面
急斜面なので大きな木は無理?ポット苗も草刈りで刈られてしまいます。そこで幹刺しを発案。つくわけがないとバカにされつつ,でも1割は根付いた!同級生のアドバイスで成長ホルモンを併用したところ,大成功。九州に来てからはトヨタと共同研究を行われました。実験地が立ち退きになったため抜いてきて大橋キャンパスに植えたそう。アラカシ等は見事に根付いています。ただし落葉樹は難しく,研究としてはここが未完とか。
里山の手入れ:夏に刈るか冬に刈るか
研究の結果,夏に2年に1度くらいの手入れが最も多様になることがわかりました。光が少ないと花芽が出ないためであり,選択的間伐が必要。原生林に手をつけずそのままがよいが里山は管理すべきとのこと。市民の参加も得てひとまず成功です。その後在外研究でイギリスへ行き,ボランティア活動BTCVと出会い,九州に来て黒木町の山村塾と出会われます。田舎の老人はすごいと感じたそう。これらを活かすシステムとしてJCVNの立ち上げを準備中だそう。
これからもますますのご活躍を期待したいと思います。
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昔高校生対象の黒木町での農林業体験プログラム?に参加した際一度お会いしたことがあってから、それ以来先生の新聞記事とかには注目していましたが…重松先生、退職されていたんですね。
)、楽しみにしています。
プログラムに参加したのがきっかけで、今では自分も農学部生やってます。先生には本当に感謝です。大学を退かれたということですが、自分も先生の活躍(の記事
と、通りすがりのコメントでした。半年前の記事なのにゴメンナサイ

投稿: 通りすがり | 2009年7月27日 (月) 02時13分
通りすがりさんコメントありがとうございます。ついこの間のことのようですが,もう半年になろうとしているんですね。
九州大学芸術工学部ではおそらく通りすがりさんが黒木のプログラムに参加されたころ助手だった朝廣先生が准教授として緑地・保全を中心テーマとする研究室を引っ張られています。黒木町との連携協力も続いています。
農学部生とのことなので,今後の活躍を期待していますよ!
投稿: NaoyukiOi | 2009年7月27日 (月) 13時30分