公開講座「模型で考えるあなたの住まい」
2006年10月18日~11月29日 隔週水曜日19:00~21:00 全4回
九州大学 大橋キャンパス2号館 環境設計学科プレゼンテーション室
昨秋開催された,九州大学芸術工学部公開講座「模型で考えるあなたの住まい」の概要をお伝えします。2005年秋に開講した「住まいの常識を問う」に続く住宅シリーズで,今回も田上先生が企画してくださり,大井もお手伝いしました。
FinePix F30(以下同じ)
田上先生によるオープニングです。
■対 象:一般
■受講料:6,200円
■講 師:土居義岳,石田壽一,大井尚行,田上健一,井上朝雄(九州大学 大学院芸術工学研究院・環境計画部門)
■内容:今の住宅ブームやリフォームブームは,住宅をつくろうとする人々にとって,一見,選択肢が増えているように見えます。しかしながら,実際にはnLDKと呼ばれる「型」を焼き直し続けているに過ぎません。これからは,住み手がもっと主体的にデザインプロセスに参加していく「要求型」の住まいづくりに転換していく必要があります。本講座では,自らの空間の獲得・実現方法について,1/50程度のスケールの住宅模型をつくるという簡単なデザインワークをワークショップ形式にて行います。各回ともスタッフによる基礎的・専門的な講評・批評を受けることになります。受講者は,住宅のデザインプロセス,模型作成のプロセス,表現方法,空間のスケール感などを学ぶことができます。
■スケジュール
第1回 10月18日 「住宅に求めるコト」(田上健一・建築計画)+ワークショップ
第2回 11月01日 「空間の心理学」(大井尚行・建築環境心理)+ワークショップ
第3回 11月15日 「空間の構築方法」(井上朝雄・建築構法)+ワークショップ
第4回 11月29日 「空間を批評する」(土居義武・建築史,石田壽一・建築意匠)+ワークショップ
■ご持参品:第一回目に可能であれば現在のお住まいのプランをお持ち下さい。
第1回は,まず田上先生のお話。住宅問題解題,シロウト建築のすすめ,模型で考える,模型のつくり方,模型をつくってみる,といった話を聞いたあと,いよいよ模型をつくってみます。
スチレンボードに平面図,立面図が貼られたものが用意されていました。これを切って,接着剤で貼り合わせれば,だいたい形ができあがります。細かいところはティーチング・アシスタントの学生が教えてくれます。
第2回は私の担当で,空間の立体的な構成や開口部から感じられる開放感などについて話しました。いよいよ自分で考えて模型をつくる前に,機能だけでない「空間」を考えてもらえるように,と意図したものです。
・窓の外に他人にじゃまされない空間を確保するには?
内部と外部の配置
視線はどうなる?
見えてもかまわないものは?
・天井に変化をつけると?
高さを変えてみる 全体・一部
傾斜をつける,カーブをつける
・空間の大きさをつかむためには家具や人を配置してみる
話だけでは,なかなかわからないこともありますから,天井まで開いたスリット上の開口部や,ハイサイド・ライトなどを,その場で模型につくって,見せて回りました。
途中で,良さそうなアイディアやおもしろそうなものがあると,田上先生が講評を加えてくれます。
吹き抜けと階段,開口部を組み合わせたこんな作品も。
第3回は,井上先生による空間の構築方法。簡単な木造住宅の耐震診断をやってみよう,ということ。みなさん自宅や自分で考えたプランの壁量などをチェック。
第4回は,土居先生と石田先生のお話。土居先生はミース・ファン・デル・ローエとコルビュジェの代表作を取り上げて,空間の構成と描かれた生活スタイルなどについて。石田先生は研究室で展開されているオランダの水上住宅や,単純な基本形の組み合わせで空間をつくっていくFLOPの紹介。具体的なプロジェクトの紹介にはみなさん興味津々だった様子。
最後に受講生が制作してきた模型について,講師全員が講評する形で終了。時間の関係で全員分について講評できなかったのは申し訳ないことでした。話を聞くだけでなく,受講生が手を動かして,参加する形は講師側にも刺激があってよいものです。機会があればまた企画したいと思います。
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