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公開講座 「住まいの常識を問う」第3回(後半)

2005年11月16日(水)19:00~21:00
九州大学 大橋キャンパス5号館512教室

公開講座は終了してしまいましたが,遅ればせながら九州大学芸術工学部公開講座「住まいの常識を問う」第3回後半の大氏 正嗣氏(デザイン・構造研究所)の講義の様子をお伝えしましょう。くわしくお伝えしようと思うと,どんどん遅れていくようなので,今回から少し簡略化します。

s-051116-200548
FinePix F700 SuperEBC Fujinon 7.7mm(35mm equiv.)
ISO400 FL4200K

専門としては「骨組をやっています」とのこと。
建築設計は共同作業なので一人がする範囲は以外に狭い。構造は壊れないようにすることが目的だが,要求される品質は?
ユーザーが要求する品質を分析する方法のひとつにAHP(階層分析法)がある。階層分析法の集約を行うためのスプレッドシートがホームページにあります

建築設計の常識としてとりあげられた項目
1)目的の明確化と重要度について
2)地盤について
3)木造について
4)鉄骨造について
5)鉄筋コンクリート造について
6)設計について

文化施設(公共博物館)の評価をAHPで分析すると,立地が30%,企画展が45%,サービスが10%,建物は10%。建物のデザインはそのさらに一部ということ。

実は重要な敷地の条件。地盤に応じて設計の考え方は異なります。難しい土地だとコストがかかる。施工者が一番手を抜きやすいところなので注意。地面(土)を大きく分けると砂と粘土。性質が全く異なる。砂は重さが載るとすぐに下がる(建物では基礎が一番重い)。粘土はすぐには変わらないが,何年もかかって沈む(地盤沈下)。地盤の堅さはN値で表す。ボーリング調査でわかるが九州は調査費が高め。昔その場所がなんだったか,が重要。
地震の時,地面の影響は?地震は下から揺れ,岩盤の揺れが上に載っている土に放射されるので,岩盤が凹面になっているとどこかに揺れが集中するところができる。昔,沼だったところなどは普段から沈下しやすい上に地震の揺れも集中する。

建物の種類
・木造(W) 一番多い。小さな住宅では経験的な設計ですませることも。
・S造 おもしろい形状も可能。鉄は木より素直。
・RC造 しっかりしているけど高い。

木造住宅の現状
 基準法では壁量規定もある(計算せずに壁が多ければよし)。許容応力度設計で計算すると,壁量設計より壁が増える傾向になる。これはたわみの少ないものを目指すから。木造住宅の品質はたわみで決まる。最近の木造は建築金物だらけ。必要だが問題も。
 集成材は曲がらないしそらない。ホルムアルデヒド等は大丈夫になったが,火事の時に接着剤が燃えるかもしれない。構造用合板(ベニヤ)も同様。

鉄骨造の特徴と可能性:メリットは強いこと。木で4m梁をとばせるとすれば,10m以上OK。

RC造:コンクリートは人造石。石造りでごつい感じになる。セメント+砂(砂利)+水+空気が水和反応してかたまる。最初だけは水がたくさん必要で,蒸発するときにひびわれしやすい。

このあと事例紹介多数。
「常識は時代とともに変わる。根拠だてできれば,いろいろなことができる。」とまとめられました。

第4回は石田先生によるオランダの住宅を中心とするお話です。

本公開講座に関連するエントリー
公開講座「住まいの常識を問う」始まる(田上先生)
公開講座 「住まいの常識を問う」第2回(土居先生)
公開講座 「住まいの常識を問う」第3回(前半) (谷口遵氏)

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